ワンデイ高崎

　読書に集中できる時間がほしい。

　なんとなく疲れているからといって部屋に閉じこもると、ただ無駄にSNSを見て時間が溶けるように消え、手元に残るものはなにもない。だから時には無理やりでも、選びきれない何冊かの本を片手に外へ出ることにしている。

　快速電車が好きだ。のんびりと各駅停車にゆられる小さな旅もいいけれど、遠いところへ行きたい場合は、停車するたびにあっという間に酔うため、東京から快速に乗ってほどほどの距離にある街をあらかじめリストアップしている。遠いとも近いとも言い切れない、絶妙な距離の街ほど行く機会に恵まれにくいから、思い立ったら行くことにしている。

　重たい腰を上げて行く気になったのは、高崎にある本屋の存在である。いつもSNSで紹介されている作品が興味のひくものばかりであることと、三階建ての建物を改装したというレトロな外観の雰囲気も気になるポイントだった。